日経MJ記事

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日経MJの「ゆる起業のススメ」に掲載された記事です。


コロナ禍からの従業員、今も活躍

今回はホテルの客室清掃を手掛けるビズアシスト・サービス(横浜市)の今貴史社長(43)を紹介します。2019年に同社を設立しホテルの客室清掃として始めました。
現在は事業用のテナントや居住用マンションなどの建物の清掃も行うほか個人宅の水回り修繕対応など、幅広いサービスを提供しています。
今さんは法人・個人向け営業・訪問販売、運送業など、様々な業界・職種を経験しています。いずれも一人で動く仕事だったため「人と一緒に一つの仕事に取り組む」機会が少なく「仲間とともに目標に向かって進める仕事がしてみたい」と思うようになったそうです。そんなときに知り合いの清掃会社の社長からホテルの客室清掃やってみないかとの誘いを受けました。
 
清掃業は初めてだったので修行を積むところから始めることにしました。いざ事業を始めようと思った矢先、コロナ禍になりました。今さんもそのあおりを大きく受けてしまい、事業をはじめて早々に倒産も覚悟したと振り返ります。しかしそこであきらめることはせず仕事になりそうなことを色々とやったことで盛り返すことができました。
 
盛り返しの大きな要因は、奇(く)しくもコロナ禍で生まれたホテル療養施設の運営に関する仕事でした。感染症の流行初期から携わるようになったので、暗中模索のなかで進めなければならず不安も付きまといました。しかし、従業員と一丸となって取り組み、そのかいもあって乗り切り、いまでは多くの従業員を抱える会社へと成長しました。コロナ禍を一緒に乗り切ってくれた従業員はいまでも働いてくれているそうです。
乗り切った秘訣を聞くと「人との縁」という言葉が返ってきました。「話すのが好きなので」と話す今さんは意識してやっている訳ではないようでしたが、人とのめぐり逢(あ)いが結果としてビジネスに結び付きました。このことはビジネスを進めるうえでの繫(つな)がりの大切さを再認識したとのことです。
 
会社では多くの外国の方をスタッフとして抱えています。文化・風習も違うので大変なことも多いのではないかと思いますが「中身は同じ人間だから多少言葉の壁はあっても変わらない」と笑顔でおっしゃっていました。ひとつのことを覚えるのに1か月かかることもあるそうですが、何度も反復練習をし、仕事の目的意識を持つことで働きぶりが変わるそうです。そんな仲間たちとともに、新しいことに挑戦し、何もなかったところから形が出来上がった時の達成感は何よりもやりがいを感じるそうです。
最後にこれから起業する方たちへのメッセージを伺うと、失敗してもやり切ることと、周りの方に感謝を忘れないことが大切だと語ってくれました。挑戦してだめだったら、やめる判断もスピーディーに行います。ですが後始末も含め最後までやり切ることが自分自身の成長にも繫がり、次に生かせるとのこと。お話しを聞いて、周りの方への感謝を忘れずにひたむきに挑戦することで道は開けていくのだと感じました。今さん自身も今後も事業を増やす予定だそうで、これからの発展と挑戦が楽しみです。
(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)